夏休みの読書感想文、お勧めの一冊をご紹介。

先日、一人の生徒から、夏休みの読書感想文の課題図書についての相談がありました。
この生徒には、既に夏の課題に目を向けていることに驚かされましたが、私も興味があったので調べてみることにしました。その中で、『円周率の謎を追う:江戸の天才数学者・関孝和の挑戦』という本に心ひかれ、早速購入して読んでみることにしました。

西洋式数学が普及する以前の日本式数学を「和算」といいますね。
子どもたちには馴染みのない名前ですが、中学の歴史教科書にも、ちゃんとその名前が出ています。背景は、ちょうど17世紀末から18世紀の初めにかけての江戸時代です。大阪や京都を中心に元禄文化が花開いたころで、同年代に『奥の細道』を書いた松尾芭蕉もいます。
それまでは、中国の模倣でしかなかった数学を、日本独自の高等数学「和算」に発展させる基礎を作ったのが主人公の関孝和です。

 

 

文体は易しく、子どもたちでも3時間もあれば読める内容ではないでしょうか。

でも、感想文の書き方を知らないというお子さんが、意外に多いのではないでしょうか。

塾では毎年夏休みに、上手な感想文が書けるように『感想文の書き方』をまとめて渡しております。

素晴らしい感想文に仕上がるといいですね。

 

話を本題に戻しましょう。
現代ではあたりまえの円周率、三・一四。当時の江戸時代では、円周率がまだ使われていません。そんな時代の中で、円に魅せられ円周率の謎を解くまでを、関孝和の生涯を通して描かれているのがこの作品です。しかもこの時代には、関孝和と同様に数学への情熱を持ち、研究していた人たちがなんとたくさんいることでしょう。
彼らと円周率の謎解きを一緒に追って、読み進んでいくのは実に楽しかったですね。

私は、この物語で筆者は、「あきらめることなく、一つのことを一生懸命に取り組むことが大切である」ということを語りかけているように思えました。
これは読書感想文を書く上で、とてもいいテーマですね。
本書には、たくさんの数学書や解法が出てきて、子どもたちには難しく感じると思いますが、テーマはいたってシンプルです。そのため、感想文図書として推薦したい一冊でねす。