悠久の時間を刻む石

前回の火成岩の評判が良かったので、気分を良くして堆積岩のお話です。
中学で習う堆積岩は6種類(れき岩、砂岩、泥岩、石灰岩、チャート、凝灰岩) です。

 

 

堆積岩の標本を作ってみました。

上段…れき岩、砂岩、泥岩

下段… 凝灰岩、石灰岩、チャート

の順に並んでいます。

 

 

こちらは、天竜川の河口で拾った花こう岩です。

水の働きによって角が削られ、真ん丸い球形をしています。

ところで、
赤石山脈の名の由来は、チャートと呼ばれる赤い石であることをご存知でしたか。
チャートは、今から1億年以上も前に、深い海の底に放散虫という生物の死骸が堆積して出来たものです。そてが、標高3,000mを越える山々が連なる赤石山脈の地層から化石として見つかるとは、なんとも地球の不思議さを感じます。

余談ですが、
赤石山脈は、東に糸魚川-静岡構造線、西に中央構造線という2つの大断層を持ち合わせています。
糸魚川-静岡構造線は、フォッサマグナの西端の線でもありますね。

また、中央構造線は、九州から関東にかけて日本を東西に分ける日本一大きな断層です。記憶に新しいところでは、2016年4月の熊本地震の震源も、この中央構造線沿いにあります。

この断層が、私たちが住む天竜区佐久間町や水窪町にも続いていることをご存知でしょうか。

知っての通り、

青崩峠は静岡と長野の両県をまたぐ峠で、付近の地質構造は中央構造線による破砕帯となっております。山腹に広がるむき出しになった青い岩盤から、その峠の名が付けられているのです。

 

話を戻しますが、

天竜川は石の宝庫と呼ぶにふさわしく、たくさんの種類のがあります。

なぜなら、天竜川は中央構造線と並走して流れている川だからです。

中央構造線の断層の内帯 (日本海側)では、花こう岩や片麻岩が、外帯(太平洋側)では結晶片岩と地質が異なっていて、天竜川流域では日本列島を代表する地質がほとんどそろっているといえます。

そのために、天竜川はバラエティに富んだ石の宝庫となる訳です。

河原で見かける石一つひとつが、悠久の時間を旅してきたと思うと、時間の重みを感じずにはいられません。